別荘地の不動産契約の詳細

長野県佐久市の物件の契約関連書類がようやく届きました。
どうして買おうと思ったのか、という話は以下に記載したので、よろしければご覧ください。

不動産仲介会社に申込書を送付してから、しばらく音沙汰がなかったりして内心ドキドキしていたのですが、なんとか無事に手続きを進められそうです。
今回は、送付された書類や契約書の中身について、自分が確認したことを記載してみます。

不動産会社から送付された書類

以下のうち、1-6は参考情報で、実際の契約行為として必要なのが7-10という感じです。

  1. 個人情報取り扱い
  2. 重要事項事前説明書
  3. 現在の物件情報(地番、所有権、測量図など)
  4. 自然公園内別荘建築等に係る規制整理表
  5. 防災マップ
  6. 契約時のご用意(支払い金額の詳細など)
  7. 重要事項説明書
  8. 重要事項説明参照資料(都市計画法、建築基準法など)
  9. 不動産売買契約書
  10. 一般媒介契約書

今回の契約は、コロナ渦かつ遠方ということもあり、以下のようなステップで進行することになりました。

  1. 不動産屋へ申込書送付
  2. 契約書のやり取り
    ・不動産屋が仲介して、売主と買主で必要書類を郵送でやり取りする。対面であればその場で説明を受けながら書類準備もできるとのことだけど、今回は郵送対応にしてもらった
    ・重要事項説明などもzoomで実施
  3. 司法書士のところに登記に必要な書類が揃ったら連絡をもらい、契約金を支払う
  4. 振込確認でき次第、司法書士が所有権移転登記の手続きに入る
    ・法務局へ申請後7-10日ほどで登記完了
  5. 所有権移転登記が完了後、管理会社より委託契約書が届くので締結
    ・今回は別荘地なので管理委託契約が条件になっている

3の契約金を支払った段階で、基本的には自分のものと考えて良いようです。
東京都内のマンション契約は一度経験しているのですが、このときはローンやらいろいろと手続きが大変でした。今回は一括で支払うし、建物もない土地なので比較的シンプルな印象です。

契約書の中身

不動産売買契約書

不動産売買契約書は、土地の登記簿の記録や売買代金、支払日などの記載や違約金、その他契約条項が記載されています。ほぼテンプレート化されていて、プラスαで今回の契約に関する部分は特約事項として整理されているような構成でした。
別荘地などは個人間で取引する方が費用としてはお安くできる場合もあるでしょうが、自分でこういった書類を適切に準備するのは大変なので、仲介してもらう安心感がある部分です。

一点だけ、「公租・公課の負担」について、都市計画税や固定資産税や管理費など、今年分は売主負担と聞いていたのですが、条文は引渡し日を基準にした日割りだと記載されていたので、そこだけ念の為確認をしました。一般的には日割りとすることが多いと思いますが、売れやすくするためや手続き上の手間を削減するために、別荘地ではその年の分は売主が負担、翌年から買主負担としているケースもそれなりにありそうです。年一括で既に支払い済みのケースなど、ずっと放置状態の山林の土地などは、実質価格がつかない=固定資産税もわずか、という例が多いので、わざわざ手間をかけないという意味の方が大きいかもしれません。

特約事項に「光ケーブル設備ないよ」ということも記載されていました。
現地は携帯電波も弱めだったのが若干ネガティブポイントではあったのですが、自分としてはデジタルから離れるための環境とも割り切れるので良しとしました。

ちなみに、近くのキャンプ場はきちんと電波が入ることは確認済。必要に応じてキャンプ場(デイキャンプ利用も可)へ移動したり、駅前への買い出しとあわせてカフェ等で作業するなどで良いかなと考えています。
DIYなどのときに、Youtubeで動画を参考にしたいときなどは不都合が生じるかも?
そのときはYoutube Premiumで、オフライン視聴できるようにするなど、対策もできるかなと考えています。全くつながらないわけではないので、電気を引いたら電波のブースター設置なども考えてみます。

一般媒介契約書

一般媒介契約書は、不動産会社と結ぶもので、契約には3つの型式があるようです。

  1. 専属専任媒介契約型式
  2. 専任媒介契約型式
  3. 一般媒介契約型式

今回は3. 一般媒介契約型式になるのですが、これは物件の売買や媒介などを他の宅地建物取引業者(不動産屋)に重ねて依頼することができ、依頼者が自ら発見した相手方と売買や交換の契約締結もできるというもの。専属専任の場合は、重ねて依頼できない、自分で発見した相手と取引できない。専任の場合は、重ねて依頼はできないが、自分で発見した相手とも取引できる、ということのようなので、一般媒介契約が一番しばりが無いようですね。

ここには、通知義務であったり約定報酬額(手数料)などの定めが記載されいています。宅地建物取引業法の報酬規程で定められているようですね。

  • 200万円以下:代金の5%
  • 200-400万円:代金の4% + 2万円
  • 400万円以上:代金の3% + 6万円

今回は200万円以下に該当します。

重要事項説明書

特に押さえておきたい内容は名前通り重要事項説明書につまっていますので、少し丁寧に確認していきます。自分があまり知らなかったことも合わせてメモします。

土地の表示

測量図について、特に山林のような場合には「境界が曖昧」という話を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。別荘地でも販売された当初は区分けされいたものの、現地でみると境界がよくわからなくなってしまっていることも多いです。放置されて境界杭が埋もれてしまっていたり、朽ちてしまっていたり。そんな測量図ですが3種類+その他があるようです。

  • 確定測量図:すべての隣地所有者の立ち会いを得て境界が確定されたもの
  • 現況測量図:確定測量図以外のもの
  • 地積測量図:分筆登記等の際に添付される測量図で登記所に保管されているもの。確定測量図であるとは限らない

現況測量図、地積測量図の場合には、分筆・合筆(土地をわけたり、1つにしたり)の際に、隣地所有者の承認が必要な場合があるとのこと。このあたり明確にしておきたい方は予め確認しておくと良さそうです。

自分の場合は、地積測量図(昭和43年12月)でしたが、広めの土地だし、隣地も基本的にあまり利用されておらず、境界ギリギリでどうこうということは無いと思うのであまり気にしないことにしました。
→追記:現地で改めて確認すると、この木はどっちの土地のものになるんだろうな?というのがありました。切り倒したいとか、倒木が発生した場合にはどちらのものかは重要なポイントになるかもしれません。

宅地に直接関係する事項

所有権について、差押登記や所有権移転登記、地上権、抵当権、貸借権などについて記載されています。基本的に買主側としては、これらに変なものがついていないことを確認すると良いかと思います。

ちなみに、今回は不動産売買契約書の中の土地売買契約条項に「負担の消除」という条項に以下の文言が記載されていました。売主が所有移転時期までに、きれいにしておくということでしょう。

売主は本物件の所有権移転の時期まで、抵当権等の担保権および賃借権等の用益権その他買主の完全な所有権の行使を阻害する一切の負担を消除する

都市計画法・建築基準法等の法令に基づく制限の概要

自分のように山林を趣味的に活用したい場合には、その土地がどのような制限を持っているのかを知っておくことは重要だと思います。やりたいことがそもそも禁止されている土地であったら何のために取得するのか、という話になってしまいますもんね。
現地を見たときにもある程度は不動産屋から聞いていましたが、口頭での確認でしたので改めて書面で確認します。今回の物件の条件にマーカーをつけます。

都市計画法・建築基準法に基づく制限の概要
  • 区域区分
    • 内:市街化区域、市街化調整区域、線引されていない区域
    • 外:準都市計画区域、都市計画区域・準都市計画区域外
  • 開発行為等の制限
    • 開発行為をする場合:許可必要
      • ただ、自分の場合は都市計画区域外なので、1ha未満の規模、農林漁業用の建築物や従事する(予定)の居住する住宅の場合は不要のよう
  • 都市計画制限
    • 制限なし
  • 用途地域
    • 指定なし
  • 地区・街区等
    • 以下ではない
      • 高層住居誘導地区、高度地区、高度利用地区、防火地域、準防火地域、特定防災街区整備地区、風致地区
      • 建築物を作るときは、原則建築確認申請が必要になりますが、10m2以下の建築物であること、防火地域・準防火地域ではない場合には不要ということなので、小さな小屋であれば、確認申請はなしでも大丈夫そうです。
      • ちなみに、固定資産税に該当する建築物は以下が条件です。
        • 屋根があり、3方以上外周壁や建具で囲われていること(外気分断性)
        • 基礎等で土地に固定されていること(土地定着性)
        • 居住、作業、貯蔵等に利用できる状態にあること(用途性)
  • 建ぺい率/容積率の制限
    • 建ぺい率 20% / 容積率 40% (特例容積率の適用無し)
  • 条例による制限
    • 建築協定区域による制限あり
      高さ10m以内、2階建以下、風致景観に著しく不調和でないこと
      • 自分は小屋を作るくらいの予定ですが、2階建てというのは地下部分みたいなものなどがあって外から見て3階に相当すると判断されるとNGということもあるらしいです
  • 敷地と道路の関係による制限
    • 建物の敷地は原則として幅員4m以上の建築基準法に定める道路に2m以上接していなければ建物の建築はできない
      • 接道の状況:幅員 9m / 接道長さ 26m (問題なし)
都市計画法・建築基準法以外の法令に基づく制限の概要

自分の場合は、景観法と自然公園法が該当しました。
羅列されていた法令名をざっと書いてみます。普段気にしないものだったので「こんな法律があるのか」と、ちょっと面白くて書き出してみましたが、正直多すぎるので、全部把握するのは専門家にお任せするとして、該当したものだけを気にすれば良いとは思います。

山林などを手に入れようとする場合は、景観法、自然公園法、農地法、下水道法あたりは探していると触れる機会があるかもしれません。農地法は「広くて安い!」と見つけた土地が農業従事者しか取得できないくてがっかりすることが多いかも。自然公園法は後述。

  • 古都保存法
  • 都市緑地法
  • 生産緑地法
  • 特定空港周辺特別措置法
  • 景観法
  • 大都市地域における住宅及び住宅地の共有の促進に関する特別措置法
  • 地方拠点都市地域の整備および産業業務施設の再配置の促進に関する法律
  • 被災市街地復興措置法
  • 新住宅市街地開発法
  • 新都市基盤整備法
  • 旧市街地改造法
  • 首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律
  • 近畿圏の近郊整備区域および都市開発区域の整備及び開発に関する法律
  • 流通業務市街地整備法
  • 都市再開発法
  • 遠藤整備法
  • 集落地域整備法
  • 密集市街地における防災害区の整備の促進に関する法律
  • 地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律
  • 港湾法
  • 住宅地区改良法
  • 公有地拡大推進法
  • 農地法
  • 宅地造成等規制法
  • マンション建替え円滑化法
  • 都市公園法
  • 自然公園法
  • 首都圏近郊緑地保全法
  • 近畿圏の保全区域の整備に関する法律
  • 都市の低炭素化の促進に関する法律
  • 水防法
  • 下水道法
  • 河川法
  • 特定都市河川浸水被害対策法
  • 海岸法
  • 津波防災地域づくりに関する法律
  • 砂防法
  • 地すべり等防止法
  • 急傾斜地法
  • 森林法
  • 森林経営管理法
  • 道路法
  • 全国新幹線鉄道整備法
  • 土地収用法
  • 文化財保護法
  • 航空法
  • 国土利用計画法
  • 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律
  • 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
  • 土壌汚染対策法
  • 都市再生特別措置法
  • 地域再生法
  • 高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律
  • 災害対策基本法
  • 東日本大震災復興特別区域法
  • 大規模災害からの復興に関する法律
  • 造成宅地防災区域内か
    • 区域外
  • 土砂災害警戒区域内か
    • 土砂災害警戒区域外 / 土砂災害特別計画区域外
      • 当該地は区域外だったものの、途中の道路や周囲には警戒区域もありそうだったので、台風や大雨のときは注意した方が良さそうです。
      • 山の土地は特にそういう例は多いと思うので、ハザードマップは要確認
  • 津波災害警戒区域内か
    • 区域外
      • 「拠点作るなら海の側が良い」というのもあるのだけど、津波や海近いと建物も傷みそうというのはある
飲用水・ガス・電気の共有施設および排水設備の状況

これも重要な項目。人によって土地利用の仕方や求めるものが異なるので一概には言えませんが、必要だと感じたときに使えるかどうか(引き込むのに莫大なお金がかからないか)はチェックしておいた方が良いですし、電気・ガス・水は別で調達する方法があっても、トイレ(下水)をどうするかは結構難しい問題なんですよね。自分もまだ考え中です。トイレだけは臭わず綺麗なのが良くて……

  • 飲用水
    ・前面道路配管:有り
    ・敷地内配管:有り
    ・私設管:無し
    • 水道は加入金が必要、ということなので、まずは引き込まずに雨水を貯めたり、飲用水はどちらにしろ大きめのボトルで調達しようと考えています。
    • 物件によっては、加入金込の価格のこともあります
  • ガス:無し
  • 電気:有り
  • 汚水・雑排水:個別浄化槽
    ・前面道路配管:無し
    ・私設管の有無:無し
    浄化槽施設の必要:有り 個別浄化槽(合弁)
    • 浄化槽が別荘管理地で集合となっているケースもありますが、自分の場合は個別浄化槽。そして単独浄化槽(汚水と雑排水を別に処理)ではなく、合弁浄化槽ということのよう
    • 浄化槽は初期にも工事費がそれなりにかかります(助成金がある自治体も多い)。法定検査+メンテナンスも必要で固定費がかかってくるのですよね。
    • もちろん周辺に垂れ流すわけにはいかないので、なんらか考える必要があります。
    • バイオトイレ(コンポストトイレ)も考え中です。うんちとおしっこ(水分)を分離すると臭わない!と見かけるのですが、にわかには信じがたいのですよね……
  • 雨水:浸透式(下水道への雨水の流入はできない)

長野県自然環境保全条例と佐久市景観条例

自分の物件は、妙義荒船佐久高原国定公園の第2種特別地域に含まれることもあり、自然公園法と景観法は注意しておかないといけません。

長野県自然環境保全条例から引用すると、特別地域(1・2・3種)の場合、以下に制限がありそうです。

  • 工作物の新・改・増築
  • 木竹の伐採
  • 環境大臣が指定する区域内での木竹の損傷
  • 鉱物の掘採、土石の採取
  • 河川湖沼等の水位又は水量に増減を及ぼさせること
  • 指定湖沼、湿原及びその周辺1kmの区域内においてその水域等に汚水、廃水を排水設備を設けて排出すること
  • 広告物等の掲出、設置又は工作物等への表示
  • 土石その他の環境大臣が指定する物の集積、貯蔵
  • 水面の埋立、干拓
  • 土地の開墾、その他土地の形状変更
  • 高山植物等の指定植物の採取、損傷
  • 指定区域内での指定植物の植栽、播種
  • 指定動物の捕獲殺傷又は卵の採取損傷
  • 指定区域内で指定動物を放つこと(家畜を含む)
  • 屋根、壁面、塀、橋、鉄塔、送水管等の色彩の変更
  • 湿原等のうち指定区域内への指定期間内の立入
  • 道路、広場、田、畑、牧場、宅地以外の指定地内の馬車・動力船使用、航空機着陸
  • 前各号のほか、特別地域の風致の維持に影響を及ぼすおそれがある行為

ちなみに、特別保護地区だと焚き火が禁止だったりしますので要確認です。
加えて、別荘地の場合だと管理組合の規則によって禁止されていることもあるので、そちらも合わせて確認をしておくと良いです。

佐久市景観条例を見ると、当該地は重点区域ではないようなので、景観育成重点地域以外における景観育成基準を参照すると良さそうです。小屋を建てる程度であれば届出は必要なさそうですが、以下の配置については意識しておく必要がありそうです。

  • 配置
    • ア 道路側に既存林を残せるよう 10メートル以上後退するよう努めること。
    • イ 隣接の敷地境界からできるだけ離しゆとりのある空間を確保すること。
    • ウ 敷地内に大径木や良好な樹林、樹木や河川、水辺がある場合、これを活かせる配置とすること。
    • エ 地形の高低差を活かして、周辺の自然景観に調和するような配置とすること。稜線や斜面上部への配置はできるだけ避けること。

以上、細かなものが多くなりましたが、実際に物件を取得しようとしたときに自分自身が気になったこと、覚えておきたいことをまとめてみました。

契約書類に署名・捺印ができましたので、郵送してきます!